母体血清マーカー検査
妊娠15週以降に行う血液検査で、身体にリスクを負うことなく胎児に障害があるかどうかをある程度予測できることから、出生前診断のはじめの段階で行う検査です。
4種類のタンパク質やホルモンなどの成分(AFP,E3,HCG,インヒビンA)を検査することから、クアトロマーカー検査とも呼ばれます。
これらの成分は妊娠をすると、胎盤や胎児から作られる物質なのです。年齢やこれらの成分の値の増減の変化から、遺伝子異常の確率を割り出す方法です。
知ることのできる遺伝子異常は3種類
- ダウン症(21トリソミー)
- エドワーズ症候群(18トリソミー)
- 開放性神経管欠損症 …が、その検査対象になります。
□母体血清マーカー(クアトロテスト)で検査できる疾患は?
1、ダウン症候群(21トリソミー)
21番染色体が3本になる染色体異常です。特徴的な顔を持ち、知能や運動能力の発達に遅れが見られ、心臓に奇形がある場合もあります。
2、エドワーズ症候群(18トリソミー)
18番染色体が3本になる染色体異常で、子宮内でも発達の遅れが確認でき、出産できても大半の子は、小さいうちに亡くなってしまいます。(双子の場合は18トリソミーを判別できません。)
3、神経管の奇形(開放性神経管損傷)
神経管の発達に異常がある場合に生じる疾患で、神経障害が現れる二分脊椎症や、脳が発達しない無脳症があります。
□検査する時期は?
/妊娠15週0日から16週頃。
□検査方法は?
- 年齢
- 妊娠週数
- 家族歴
- 4種類の血液成分 AFP
- E3(非飽和型)
- HCG(非飽和型)
- インヒビンA
- 日本人の平均値
- 体重
- インスリン依存性糖尿病の有無
これらの要素から3種類の遺伝子異常(ダウン症、エドワーズ症候群、開放性神経管損傷)の確率を割り出すのです。
そのため、妊娠中のお母さんの年齢が高いほど、確立も高く計算される傾向があります。40歳過ぎの方の検査では、陽性の確立が一般に高くなりますので、検査を踏まえて必要な場合には羊水検査で、確定診断を行うステップへと移行するのです。
□結果の判定は?
年齢別に規定された基準値より、数値が確率的に高い方のみがスクリーニング陽性と判別されます。逆に、基準値に収まっている方は全てスクリーニング陰性となるわけです。
検査の結果が、確率的な振り分けによるものですから、客観的な事実の判定ではありません。仮に陽性と判別されても確実ではないところが、この検査の限界といえるでしょう。
費用の負担も2万円ほどと手軽に受けられるのですが、これによって胎児の障害の可能性が全て解るわけではありません。検査を受ける際には、ご夫婦できちんと話し合って専門病院に問い合わせてみてくださいね。