低刺激法による採卵のデメリット(体外受精)

高刺激系の排卵誘発とは

強い排卵誘発剤を使って、一度にたくさんの卵胞を採卵、凍結する事でなるべく若い時に採卵をしてしまうメリットを得る採卵方法なのです。

より質の高い凍結胚を一度の採卵で確保してしまい、その後に採卵を繰り返すことで、採卵の期間や回数を節減できますし、その移植の繰り返しの中で出産までたどり着ければ、卵巣への副作用というダメージもトータルとして軽減できる可能性があります。

しかし、患者さんの年齢が高い場合や、卵の在庫が減り、卵の質も悪くなっていると、一度の採卵でたくさんの卵が凍結できたとしても、移植をしてみると、着床さえしなかったり、着床をして妊娠反応が出ても、数週での流産を繰り返すことが多くなるのです。

 

卵の質の問題が顕著化した患者さんのために開発されたのが、低刺激の排卵誘発剤による採卵です。

ですから、元々の患者さんの抱えている不妊の問題点「卵の質」が、より深刻な場合にこそ選ばれるべき採卵方法だとお考えいただければ良いと思います。

 

ただし、そんな最後の砦的な低刺激法にもデメリットはあるのです。

1、一度の採卵で採れる卵胞の数は、1個か2個ほど。                  

自然周期法や低刺激法では、卵子ができても1個か、多くても数個に留まります。

 

2、採卵してみたものの空砲だったり、採卵できた数少ない卵子も未成熟卵で、受精しなかったり、受精しても分割がストップしてしまったりして、ひとつも育たないこともあります。

ただ、これらの例は、低刺激法だからそうなるのではなく、年齢による卵の老化で、卵の質が劣化したために起こることなので、たとえ高刺激の排卵誘発剤で採卵を試みても、誘発剤の種類をアレンジしてみても、同じ結果にしかならないでしょう。

 

3、誘発剤を低刺激にしても(高刺激でしか採卵ができないと思い込んでいる患者さん)でも採卵はできることが多いのですが、採卵の回数は増えてしまい、治療は長期化することは多いのです。

 

4、採卵、移植、流産を繰り返すことになってしまい、治療期間が長引き、高額の治療費を費やしてしまっている方もいるのです。そのため、治療を一定の期間で区切って効果を検証したり、あらかじめこの時期までと決めて体外受精を続けることをお勧めしたいと思います。

 

5、採卵の時期がどんどん長引いて遅くなると、凍結できた卵胞の質も、若い時に比べれば老化してしまうのです。