アイスマンが教えてくれた、鍼灸の起源とは?!

 

私たちが行っている鍼灸治療は、元をたどれば2000年前の中国が発祥と言われて来ました。

その時代に編纂された鍼灸の経典「黄帝内経」という書物からの系譜として現代の鍼灸が位置付けられているからです。

ところが近年、アルプスの氷河から出て来た「アイスマン」と言われる男性の氷漬けのミイラ。この方が年代測定で5000年前に生きていた男性なのですが、体の複数箇所に当時の針治療を受けた痕が残っていたのです。

 

その痕というのは、黒い短い線のようなもので、体の多くの場所に書かれているように見えたのです。最初はタトゥーのようなものかと考えられたのですが、文字でも絵でもない様子から、その位置と関連性のありそうなものを探していきました。

鍼灸治療のツボの位置と、実際のこのアイスマンが持っていた持病(生検や、遺伝子検査の結果より)に対する治療穴が一致することが決め手になったのです。

ちなみにこの線の正体は炭で、当時の針は矢じりなど、かなり太かったため、皮膚に刺したり、切ったりした後に出血したため、化膿を避けるために木などを燃やした後の炭を塗り込んだためと推測されています。

アイスマンと同一の遺伝子を持った子孫が、現在のイタリアのアルプス地方に、複数存在していることや、氷河の中で最後に絶命に至った過程も、現在の科学の力で解明されているのです。

ちなみにアイスマンは、後方から放たれた矢じりが頸動脈に入り最後を迎えたのですが、アイスマン自身が持っていた武器である矢じりと斧には3人の別人の血痕がついており、これにより村を襲撃して3人を殺害し、その結果山へ追われて最後を遂げたと推測されています。

肝臓と腰などに疾患があり、また本人は子孫を残す能力が低い遺伝子を持っていたことも解っています。このことから、2000年前に中国で鍼灸が全く新しく作られたのではなく、鍼灸法はもっと以前から存在していたことも判りますね。

現在のヨーロッパにも、鍼灸治療を行う部族がいたというのは驚きですね。