体外受精の「培養」ってなに?培養士さんって何をしてるの?

採卵してから凍結迄の約5日間ほど、培養士さんの手で大切に卵子達は育てられます。

受精卵の成長と、体外受精時の培養を、照らし合わせながらみていきますね。 

卵巣から排卵された卵は、卵管でドラマチックな5日間ほどの旅をし、一回り大きくなって、子宮という世界にたどり着きます。

 

培養士さんはこの5日間ほどの航海を、体外で受精をする時に手助けしてくれる船長です。 

 

それでは、子宮と卵管迄の約10センチだけれど、精子にとっては大海原の世界を覗いてみましょう。  

まず卵巣から飛び出た卵子は、いきなり四方八方行方がわからい暗闇にほうり出されます。

その子を優しい手でキャッチ、子宮への道筋をつけてくれるのが卵管采。

 

いそぎんちゃくの熊手の様な卵管采。

□ここのキャッチが上手くいかない事が、ピックアップ障による不妊の原因になります。 
□膿や卵管液が溜まると卵巣管水腫となり、卵子が航海にでられない原因の1つになります。

卵管水腫は、着床時に子宮に流れ込むと卵子が溺れ流される危険もあります。

 

無事に卵管に乗れた卵子は、膨大部と呼ばれる広場へと向かいます。

ここで選ばれし精子、王子様を待ちます。

卵管を上ってくる精子達は、粘度のある卵管液で、ブラッシュアップ。表面についてた汚れをおとし、濃縮され、カップリングへの最高の状態へ。

 

体外受精、顕微授精時には、培養士さんが手助けしてくれる、精液の洗浄&濃縮の過程ですね。

卵管膨大部で出会った精子と卵子(お姫様と王子様)受精して、最後の難関、狭窄部を目指します。狭き門を何とか潜り抜け、ようやく子宮という母体へとたどり着くのです。

この航海の間、胚は卵管液から成長ホルモンのシャワーをたっぷり浴び、老廃物をだしながら、一回り2回りと分割成長。卵管の表面にあるひだの上を転がりながら進みます。

 

体外受精、顕微授精では、採卵された卵胞と一定のレベルで選別された精子が、体外の顕微鏡下で受精されます。 このカップリングも培養士さんが行っています。

体外受精時の胚培養では、培養士さんは、分割成長に合わせて、毎日培養液を交換しなければなりません。

お母さんの様に、毎日栄養となる食事と暖かいベットの入れ換えをし、卵子を育てていきます。

そして体内そのものである、インキュベータで温度湿度をしっかりと管理し、受精卵の環境を整へます。

 

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培養液は、その病院独自。門外不出の秘伝のスープです!

 

 

オランダで836組の体外受精を追跡調査した結果、培養液により胎児の成長に、158グラムの体重の差がでたそうです。

子宮にたどり着く迄の5日間。 

原始細胞の一番大切な初期の分割を促す卵管、そしてその働きを担う培養士さんに感謝です。