どの胚を移植すべき?そんな時こそ知りたい「着床前診断」とは?

体外受精は、卵子と精子をドッキングさせ、受精した受精卵を子宮に戻してくれる画期的な方法です。

しかし、体外受精での流産率は、自然妊娠に比べ50%と低くないのも事実です。

何故、流産率が高いのでしょうか?

 

一つの原因としと受精卵の遺伝子異常が挙げられます。

卵子、精子の老化により正常な減数分裂ができず、途中で多過ぎたり、少な過ぎたり、と異常な染色体になった場合、着床をしたとしても着床が異常できず、流産になり得ます。陽性反応が出たけれど生理が来てしまう化学流産、心拍確認後に20週満たないでの繋留流産。

どちらも女性にとっては、精神的、肉体的ダメージが計り知れません。 繰り返しの流産は、子宮を傷つけ、子宮癒着を起こす可能性を高め、更なる流産の危険性を上げてしまいます。また分娩時にも癒着胎盤による出血多量も危惧されます。

体外受精は流産率が自然妊娠より高いので、女性の子宮への負担もそれこそ上がってきます。

そこで、その危険性を回避し、妊娠出産率を上げるべく、着床前診断というか考え方がでてきました。

着床前診断とは、女性の身体に戻す前の培養中、シャーレの中の受精卵を調べていく検査です。

妊娠16週以降に行う出生前診断とは異なり、母体を傷つけず調べられる為、女性の負担を減らす事ができます。

シャーレの中で胚盤胞迄分割が進むと、受精卵は胎盤になる細胞と胎児になる細胞と分かれ行く中で胎盤になる細胞を検査していきます。

 

着床前診断には2種類

➀PGD  どちらかの親が重い遺伝子疾患の場合 

             特定疾患の審査が必要になります。

➁PGT-A(以前はPGS)着床前遺伝子スクリーニング 

今回は②のPGT-S スクリーニングについて考えてみましょう。

 

スクリーニングとは、ふるいにかける。受精卵をふるいにかけ、異常胚を弾き出す方法です。

どの検査でも有り得ますが、検査結果が100%ではない事も充分考慮する必要があります。 

また、最高の受精卵だとしとも妊娠継続の条件を満たさない場合も多々あります。

正常胚を母体に戻す、この行為自体が「命の選別」であるかどうか、倫理的問題も加味し、現在日本IVF学会では、明確な判断をだしていません。 

 

最高の受精卵=染色体異常ではない受精卵を戻せるかどうか…?

妊娠そして出産を臨む女性の一つの手助けになるか、今後に注目です。