基礎体温表がガタガタなんですけど…患者さんでよくいらっしゃいますよね。基礎体温付けていたのですが、ガタガタだし、毎日同じ時間に起きなければいけないこともストレスなので止めました。
基礎体温表を付けても、その線から何が読み解けるのか?よく分からない上に、これを基準にしてタイミングなどを取っても、結果がなかなかうまくいかない。
排卵検査薬を使ったら、基礎体温表とは全然合わないので、やっぱり意味があるとは思えない。
こんな感じで、基礎体温表をだんだん付けなくなります。また、不妊治療がステップアップして進むと、AIHから体外受精へ、そして顕微授精へと治療そのものが変わっていき、タイミングを取ることもなくなって、いつの間にか基礎体温は忘れ去られるのが行く末でしょうか。
体外受精、顕微授精のみの高度生殖医療専門病院の中には、基礎体温をつけていないと、初診を受け付けてくれないところもありますので、こういった病院に転院する患者さんにとっては、ここに来て何で今更?と思いつつ、しばらくぶりに体温を測り始めることになります。
また、その際には検温のやり方が問われたりします。多分あなたも体温計で基礎体温をつけたことがあるとは思うのですが、まず大切なのが舌下で計ること。舌下は口にくわえるだけではありません。ベロの下で図るのです。なんでこんなところで?面倒臭いと思われるかもしれませんが。
基礎体温は毎朝時間を決めて同じ時間に計ります。布団の中で目を覚まし、舌下で計ります。
これはあなたの本来の自律神経の管理下で、時間的にも基準を決めて体のコアの体温を計ることで、女性ホルモンの分泌の変化を見るためなのですね。
女性ホルモンの変化を大まかに把握する一つの手段です。
これこそが低温期、高温期の二層性などと、あなたも耳にしたことがある言葉の元になるもので、このグラフの線に、ホルモン周期の中での、あなたの子宮、卵巣、脳の視床下部などを巡って、何が起きているのかが伺える窓口になっているのです。生理周期を医学的に解説した本を少し調べれば、この基礎体温表の中に、生理的な物語が隠れていることが理解出来て、面白さは100倍になりますよ。
ここでは医師は、血中のホルモン値と実際のグラフの内容がある程度合っているのか?などをチェックするために使われるのだと思います。あるいは、あなた自身がこれを意識することで、生活習慣を改善したり、治療の全体像を考えるために目安にする意図があるのかも知れませんね。
舌下で体温を計る意味は、体のコア(深部)の体温を計るためです。
これは生活上の運動や、環境による検温の誤差の影響を少なくするためです。ですから、体温を計る場所は、舌下以外にも、腋窩(脇の下)などもありますし、こちらの方が一般的かも知れません。風邪の時などに体温を計るといえば、脇の下ですね。脇の方が外気の影響を受けやすいからでしょう。四肢末しょうと言いますが、手足に関するところは体の中では、末しょう(隅っこ)になるのです。
もっと他の部位での検温では、お尻の肛門に入れて計る方法もあります。体のコア(中心で深いところ)の体温変化を見るには良いのでしょうが、毎日これをするのはちょっと大変かも知れませんね。
そして最後に体温計の使い方です。
最近は電子体温計が普通になりましたので、検温すると30秒ほどで、電子音がピッピっとなりますね。これは実は体温計が予測値を出している状態なのです。
要するに、ちゃんと最後まで測っていないけど、だいたいこんなもんでしょう、という体温なのです。
朝眠いのに大変ですが、本当は5分ほど待って、もう一度ピッピッとなるまで待って体温を計っていただければ尚、正確なんですよ。それが必須な病院もありますね。
基礎体温はガタガタでも良いのです。だいたい皆さんそんな感じです。ただ、グラフの意味について書籍で勉強すると、治療の全体像が理解しやすくなります。ぜひ、あなたの体に何が起きているのか?調べてみることをお勧めしますね。