遺伝カウンセリングから、出生前診断と高齢化。

「遺伝カウンセリング」

遺伝子に関連する病気の心配事や気になる点を専門家に相談できる場です。

妊婦さんでいうと、赤ちゃんの遺伝子疾患の有無を調べる出生前診断に関係します。遺伝子に関する病気は周産期医療のみでなく、がんや糖尿病などの生活習慣病と遺伝子の関係も明らかになってきているため、遺伝子の病気が「特別」という感覚はあまりないかもしれません。

遺伝カウンセリングの対象

ダウン症などの染色体異常が増加する高齢出産の方、母体血清マーカー検査や超音波検査で染色体異常の可能性が高く、確定診断(羊水検査)を考えている方、遺伝子疾患をもつ子どもを生んだ経験のある方、ご夫婦のいずれかあるいは親戚が遺伝性疾患を持っており、子どもへの遺伝が懸念される方などです。

遺伝カウンセリングは大きな病院や胎児診断の専門医のいるクリニックで行われており、ほとんどが予約制です。

本来は出生前診断と呼ぶものすべてについて行うべきなのですが、必ず実施されているのはNIPT検査(無侵襲的に母体血中の胎児の遺伝子を調べる検査)だけで、日本ではまだきちんとその体制が整っていないのが現状です。

年齢が高くなるほど染色体異常を持つ赤ちゃんが増えるのは事実です。

そういった意味でも「カウンセリングを受けたい」という方の割合も、年齢の高い方が増えるようです。中には「検査を受ける気はあまりないが、染色体異常の子が生まれてきた場合にどうすれば良いのかを相談したい」という方もいらっしゃいます。

遺伝子の専門家の方によれば、遺伝子診断技術がさらに発達すると、妊娠中にもっとたくさんの病気が分かるようになるとのことです。

胎児検査が染色体の本数異常だけでなく、小児がんや自閉症などの疾患についても遺伝子レベルで研究が進み、さらにはアレルギー体質や能力までに及ぶ可能性もあります。これは技術的な進歩でいえば大変すばらしいことです。

一方でこうなると、出生前診断の対象が高齢出産や何らかの原因で懸念をお持ちの方以外の、本来であれば検査の不要な妊婦さんにまで及び、頭を悩ませる原因にもなりかねません。

技術が発展するほど、検査を受けるか悩む人や、その結果に戸惑う人も増えるようになうのかも知れませんね。目まぐるしく変化してゆく時代ですが、最新の技術に捕らわれすぎないようにしたいものです。