前回は排卵を誘発、抑制するなどの薬の話をメインにしましたが、今回はそれだけではなく、子宮内膜などに働きかけるものなどの薬の話をしていきたいと思います。
今までの薬は間接的にアプローチをし、本来必要なものを増やしていくなどの薬が多かったのですが、今回は代替として直接的な薬が主になっています。
<エストロゲンを補うもの>
■プレマリン/ジュリナ/エストラーナ/エストロジェル
エストロゲンの分泌量の不足を補い、崩れたホルモンバランスを整えます。
□卵胞を育てる働きや子宮内膜を厚くする働きを持っており、エストロゲンを補充して子宮の状態を改善する作用があります。また採卵後に、着床を促すために使用することもあります。
□黄体ホルモン(プロゲステロン)と併用することで子宮内膜を着床しやすくするとともに、その後の妊娠継続を助ける働きをします。
□エストロゲン製剤とクロミッドなどの排卵誘発剤を併用することで、クロミッドの内膜を薄くしてしまうデメリットを補うことができます。
エストロゲン製剤の副作用としては、むくみや体重の増加などが挙げられています。
<プロゲステロンを補うもの>
■ルトラール/ディファストン/プロゲストン/ワンクリノン/ルティナス
プロゲステロンを補うお薬です。
このプロゲステロン(黄体ホルモン)の働きが低下していると、内膜が厚くならないため着床しづらくなります。プロゲステロンの分泌や働きを補うことで受精卵が着床しやすい状態に子宮内膜を充実させ、着床後は妊娠の維持継続を補助する作用があります。
副作用としては、悪心・嘔吐・頭痛などがあります。
<エストロゲンとプロゲステロンを補うもの>
■プラノバール/ソフィア/メノコイドパッチ
卵胞ホルモン(エストロゲン)」と「黄体ホルモン(プロゲステロン)」という2種類の女性ホルモンが配合された薬です。ピルと言われている類です。
卵巣機能不全がある女性は、女性ホルモンの乱れにより月経異常が起こりやすくなります。無月経や無排卵の状態が長く続くと、子宮内膜が十分厚くなる前に剥がれ落ちてしまったり、妊娠に必要なホルモンがきちんと分泌されなかったりすることで、不妊につながる恐れがあります。
そのため、しばらく服用することで、卵胞の成長や排卵、子宮内膜を整える働きをサポートし、妊娠しやすい状態を作り出す、という方法が取られることがあります。
その他では、クロミッドなど排卵誘発剤を使用することで、黄体期に残っていた他の卵胞の成長を抑え、退縮させることができ、卵胞ができる確率も下がります。採卵後に「卵巣を休ませる薬」として処方される方も多いのではないでしょうか。
<卵胞成長/排卵の促進および子宮内膜を厚くするもの>
■フェマーラ(レトロゾール)
フェマーラは「アロマターゼ阻害剤」として、エストロゲンの合成を抑える働きを応用して、不妊治療にも使われるようになりました。
クロミッドよりも作用が弱く薬の半減期が短く、内膜も薄くなりにくいと言われています。但し、保険治療にはならないので高価にはなることもあります。
■hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)
hCGは受精卵が着床し妊娠が成立した際に分泌されるホルモンです。
□hCGには排卵を促すLH作用があるため、注射をすると36時間程度で排卵が起こります。hMGと併用して使われることが多いです。
□移植後に使用される場合は、hCGが卵巣に作用すると妊娠を維持するのに不可欠なプロゲステロンの分泌が促され、胎盤が完成する妊娠12~16週頃まで黄体が維持され、妊娠の可能性を高める事ができます。
但し、卵巣に直接作用する刺激が強い薬ですので副作用には注意です。
特にOHSS(卵巣過剰刺激症候群)です。そのほかにありますが、違和感や何か症状が現れた場合には医師に相談してください。
処方される薬には病院の方針によって様々です。どの薬が「良い」や「悪い」などは一概に言えません。でも、どの病院の先生も皆さんの妊娠・出産したい!という気持ちを一番に理解し、そのためにはどうすればいいのかを考えてくれているはず。
とは言え、言われるがままにどんな薬を飲んでいるのか分からずにいるのでは、何かあった時に自分の身を守れませんよね。色々あるので覚えるのは大変だと思いますが、ぜひ、今後の妊活生活に役にたててみてください!